湧き出るとは?/ レイク
[ 454] 見る事、湧き出るモノと対峙するつれづれ
[引用サイト] http://d.hatena.ne.jp/elseis/
今日は昨日から考えていた夕陽を採ろうとその時間に合わせて行動する。昼くらいに、煮豆とエッグサラダのおすそわけを頂いた際の食器を返しに隣に行くと、今起きたばかりだと言う。 昨晩は、フィスカルスでテキスタイルデザインをやっている日本人アーティストに連れられてヘルシンキのデザインミュージアムでの石本藤雄さんという作家の陶芸展のオープニングに行ってきたという。彼はかのマリメッコで何十年もデザインを担当しているそうな。食事は美味しかったし日本人いっぱいいたよ、と言われてもふーんという感じしかしない。美術館にデザインを見に行くという感覚が未だに、恐らく今後も理解出来ないかもしれない。そんな話をしていると彼女に電話が。で、「今晩の予定はどうなの?」って。「今日は夕陽を撮るから午後遅くから森にー」「MOMAから人が来ていてディナーどう?」って。「いやぁ陽は明日も沈むよね」。 午後2時過ぎに短距離トレックへ。距離が短いので三脚も担いでみる事にした。でもそんな時に限ってこんな崖を降りなければならない。 でもまた湿地帯の中の池に至福を見出す。蓮の花は最初は黄色の蕾で、それから白い花になる事を知った。鹿の足跡、柔らかい苔、鳥の鳴き声と枝のこすれる音。 やはり時間制限がある撮影行は気持ち的に思うようにいかない。3時間半で10km近く歩いたみたい。そうすると以前はもっと歩いているのでは。計算し直そう。 晩ご飯はMOMAのデザイン部のキュレーターがフィンランド外務省に呼ばれて来たらしく、あちこちを駆け足で寄る中この村へ。フィスカルス社の役員とチーフデザイナー、アーティストコーポレーティブの面々とテーブルを囲む。MOMAのデザイン部はいわゆる「マスプロダクション」しか扱わないから、良い人だけどこの村にあまり興味なかったかもねー、とはムーミンガイ(役員がいつのまにかMOMAをムーミンにしていた)への総評。 森へ。早めに出て遠出をしようと思ったが雲行きが怪しい。予報では明日から雨らしいので今日はなんとしても出たかった。 雨具、といっても100円ショップで買った折り畳み傘とウィンドブレーカーに防水スプレーをかけただけ、と昼食を詰めて出発。今日は西へ。 途中地図を見ながら絶対ここは何かある、と臭いがして寄り道。やっぱりあった桃源郷だ、うははと叫びながら駆け寄ると浮き苔に片足を膝まで。 誰もいないフィンランンドの森の中一人で「うおぉー」とか叫びながら足を抜くのに1分くらいかかった。仕事道具に何もなくて良かった。おまけに片足だけで良かった。蓮の花みたいのも咲いていたのに動揺してあまり写真が撮れなかった。また来よう。 気を取り直して車も走れる道へルートを変える。そろそろランチ。湖を見下ろす杉が生える20m位のそりたった岩場。おぉ、あそこで食べたいあそこに行きたい。 風が強いので持ち物をいろいろな物に縛ってからサンドイッチを作って食べる。今日は雲が多く流れて行く。なので森が深いと探している光を見逃して通り過ぎてしまう事もある。ふと考え直してから来た道を戻る事しばし。でも雲のエッジ辺りで中間の光なんかも取れて画の作りに変化が出来る。 今日のエリアは何かの保護区(地図に英語表記なし)らしいのでたまに入る場所がこんなに苔が深い。切り株も乗ると崩れるようなものや、苔に覆われて元が何だか分からないものもある。エリアによって植物の種類が違うのも面白い。 切り株。そう、あちこちに人の手が入っていてそれも何十年も経っているものもあって興味深い。伐採をしてある所も所々一本だけ残してあるのは何か意味があるのだろう。日当たりと水の流れが変わった場所ではいずれ根が浮いて倒れる運命にあるのだが、わざとそうさせているような感じがある。倒木が動物とか植物の役に立っているようなのだ。 しかし今日は「けもの道」が長過ぎた。後半は足が上がらず一度こける。今日も昨日と同じ位の12kmだろうが高低差がかなりあった。6時間こんな場所を歩いてもその足で戻れる場所があるのが素晴らしい。 フィンランドでは国民に与えられている権利というものの一つに「森へ入る権利」というものがある。これは、だれの所有地であろうと森へは誰もが入って良いという権利。日本みたいに柵が張ってある森に隙間から入ると「コラッ」と言われる事もない。ただ、「火は許可を得てから起こす」、「人家の周り50m以内で物を摘んではいけない」なんていう条件がある。キノコもベリーもまだシーズンではないのであまり関係なく、国民でもないけれどもありがたく享受させてもらう。 フィンランド人と森との関係はなかなか興味深く、人間が自然をコントロールしているというよりも「共生」している、という感が大きい。伐採もバンバンするけれども新しく生まれて行く部分も多く見られる。 考えながら歩いていると水筒を落とした事に気付く。200m程戻った所で見つけられたので運が良かった。街中では大した事ではない事が、森の中ではとんでもない事になるので怖い。歩き続けると湖上に地図にはない30m四方程の小さな島が見えた。よく見ると浮島のようなので早速倒木を伝って渡ってみる。 苔やら落ち葉なんかが重なって島になったのだろうか、やはり足がのめり込むティティカカ湖を思い出す。 |
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